第3回SAFE「トラブル症例は真実を語る!」シンポジウムに参加
2015年3月21、22日、大阪府豊中市の千里ライフサイエンスセンターで第3回SAFEシンポジウムが行われました。
「トラブル症例は真実を語る! ―スペシャリストからの提言―」をテーマに、450名以上の参加者が大阪に集結しました。
SAFEとは
近年のインプラント治療のトラブルは社会問題にまで発展しており、トラブルの原因とリカバリー(不調を回復させる治療)の検証をすることが急務と考えられます。
しかし、インプラント治療は生体の反応を利用しているため、トラブルの原因には不明な点も多く、補綴学、歯周病学あるいは口腔外科学など様々な方面から原因を解明する必要があります。
インプラントのメーカーなどの垣根を越え、トラブル症例を検証する会として発足した会がSAFEです。
シンポジウムに参加した歯科医師、衛生士の感想
理事長 橋本英敏
今回は歯科医師だけではなく衛生士、技工士と共に同じ学会に参加し、同じ講義を聞いたことに価値がありました。
歯科治療は、年々専門化が進んでいます。歯科医師も、昔の歯医者ではなく歯周病専門医、インプラント専門医、矯正専門医など…細分化されています。
もちろん、より高度な技術のためには細分化、専門化は必要です。
しかし、その弊害として自分の専門外に関して知識が不足したり、お互いの立場が尊重できずに理解不足に陥る場合があります。
そういった問題の解決として、院内の種々の職種が一同に会し、同じ講義で学び、ディスカッションすることは、より良い医療の構築のために極めて重要です。
このような学びの機会を与えて下さった皆様に感謝します。
歯科医師
今回は失敗症例から学ぶセミナーということもあり、普段はあまり接することのない多くの症例を見ることができ、新しい知識を多く身につけることができました。
医療である以上失敗はあってはならない事ですが、それでも色々な要因によって成功とは言えない症例も出てきます。そういった症例から多くを学び、今後の成功を増やしていくことは、とても意義のあることだと思います。
また、治療の段階で衛生士や技工士との綿密なやり取りももちろん必要ですが、どの治療においても、その後の経過観察やメンテナンスが重要になり、患者様、歯科医師、衛生士、技工士の4者が互いにコミュニケーションをとって、お口全体のケアをしていくことが大切だと思いました。
他にも普段はなかなか見られない韓国でのインプラント症例を多数見ることができ、とても興味深い話を聴けたことに満足しています。
今回のセミナーを受講して、改めて歯を残していくことの大切さを実感しました。その歯をしっかり残すには、歯科医師の技術的な努力も必要ですが、患者様とのコミュニケーションを多くとって「ここまでしなければいけないと」いう理解を深めていかなければ、結局予後の悪い治療につながることを再度認識しました。
歯科医師
著名な先生方の治療の落とし穴(失敗)や、難しい治療を難なく成功させている素晴らしい症例等を拝見させていただき、大変勉強になりました。
今の医療が成り立っているのも、諸先輩方の努力と失敗があってこそのものだと思いました。
治療は実験ではないので無謀なことをしてはいけませんが、少しでも患者様のご希望に添えるよう挑戦しないといけないなと、改めて考えさせられました。
そう出来るように、更なる知識や技術の習得に励んでいきたいと思います。
歯科衛生士
SAFEは、失敗例を元に「なぜ失敗したのか?」「なにが原因であったのか?」を検証・発表し、共有するスタディーグループです。
登壇してくださった先生方は、日々臨床でご活躍される方ばかりで、自らの失敗例、実症例の画像データ、科学的データを発表し「口腔内でどの様な事が起きているのか?」「どの様な経緯を取ったのか?」「なぜその様な事が起きたのか?」などをご教示下さいました。
「こうなっているのであろう」という曖昧で感覚的な原因の追究ではなく、現状を把握し、エビデンスに基づいて考えることの大切さ、自らの失敗を見返る大切さを改めて学ばせて頂きました。
ご登壇頂いた先生方、SAFEスタッフの皆様、本当に有が難うございました。たくさんの刺激を受け、学ばせて頂きましたことに感謝し日々の臨床に生かせていけたらと思います。
歯科衛生士
今回講習会に参加させて頂きましたが、久しぶりの外部講習会でしたので、自分の知識が古くなってきていることを感じました。
やはり定期的に講習会には参加し、常に刺激を受けていく必要性があるのだと実感させて頂いた一日でした。
先生方の症例を拝見させて頂き、どんな先生でも未熟な時期があり、努力や患者様の協力によってステップアップしてこられた事、当然の事ではありますが、努力と経験とをたくさん積んでこられたことを感じました。
自分の仕事を見直し、患者様にきちんと向き合い、より良い関係を築いていけたらと思います。
また、治療は携わり方によっていろんな感じ方があるというお話にはとても共感を得ました。医療従事者として偏った考え方にならず、患者様のためになることを考えて協力していく必要があると強く感じました。